PROJECT [M]

PROJECT [M] Vol.2

電子マネー決済の利便性を高めるソフト開発で
日本のキャッシュレスマーケットを拡大せよ!

電子マネー決済用サーバアプリ開発プロジェクト

日本の電子マネー決済の裾野を拡大するカギ

スマートフォンの普及が追い風になり、いまや日本では電子マネー決済は当たり前になりつつある。しかし、まだまだ世界に比べれば日本の普及は遅れており、その一因が電子マネー対応店舗の少なさだ。確かにスーパー、コンビニなどの大手チェーンなどでは広く普及している印象がある一方、個人経営の小売店で電子マネー決済を導入しているケースはまれである。対応機器、システムの購入、専用回線の敷設など、導入に多額のコストがかかるためだ。さらに複数の電子マネーブランドを扱うには、ブランドの数だけ前述の準備が必要になる。これが電子マネー決済の裾野拡大を妨げる大きな障壁となっていた。
この問題を解決する画期的なサービスとして登場したのが、電子マネー決済プラットフォームである。簡易なカードリーダ/ライタ端末とインターネット回線を導入するだけで利用できるクラウド型のサービスのため、きわめて低コストかつ短期間で導入できることが大きな特長だ。さらに1台の端末導入で複数の電子マネーブランドに対応できる使い勝手の良さも強みになっている。

 
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電子マネー決済プラットフォームの開発当初より、メインはサーバアプリケーション開発に携わっている。サーバ主導の読み書きフレームワークの採用、オンプレミスからクラウドへのサーバ移行など、最新技術を用いてサービスの根幹を担う領域の開発を手掛けてきた。開発チームのTは複数の電子マネーブランドを扱う難しさを次のように語る。「ブランドごとにレギュレーションが異なりますので、メンテナンスの負荷を軽減するために共通する処理は独自に開発したフレームワークに移譲する必要があります。とはいえ、各ブランドのレギュレーションも遵守しなければなりませんので、そこに細心の注意を払いました」。電子マネーブランドの個性を活かしつつ、ひとつのルールでゴールまでの足並みを揃える。まるでプロサッカーチームの監督のような手腕が求められるのだ。

オートチャージ機能の実装で利便性を向上する

常日頃、現場では同時進行で各電子マネーブランド、アクワイアラ(加盟店管理を主な業務とする事業者)の要望に対応する小さなプロジェクトは複数動いている。そんな矢先、とある電子マネーブランドのオートチャージ機能の実装プロジェクトをTが担当することになる。「すでに他社決済プラットフォームサービスではオートチャージ機能が実装されており、一刻も早く足並みを揃えたいというのがお客さまの意向でした。残額が少なくなったときに一定の額を自動的にチャージするオートチャージ機能が実装できれば、利用者の利便性が向上し、購買機会の損失を防ぐことができます」。しかし、ここで問題になったのがオートチャージ機能の実装と同時に、上述の独自フレームワークを採用することだった。
当時の苦労をTは振り返る。「要求された仕様を満たすために、多くの観点から項目、ポイントをチェックして慎重にプロジェクトを進行していきました。しかし、社内テストを終え、外部システムとの接続テストを行っている際に電子マネーブランドさまとの仕様認識の齟齬が発覚したのです。なんとか修正、再テストでカバーできたのですが、改めてお客さまとのすり合わせ、確認作業の重要性を感じました」。

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Tのチームの一員として新卒入社後、新人研修を経てすぐに現場に配属されたIは、このプロジェクトが大きな学びにつながったという。「初仕事が社内でのテスト工程に関わることでした。ここで学んだのは自分の仕事を失敗も含めて振り返ることです。苦労した経験をその都度、書き留めることを心掛けました。これらを実践することで同じ過ちを繰り返さず、似たような状況に直面したときにベストな対応ができ、浅いキャリア、経験をカバーできると考えています」。Tが率いて、Iが所属するチームの連係プレーにより、そこから先はとんとん拍子に開発は進み、無事、オートチャージ機能の実装は完了した。

社会を豊かにする、喜ばれる技術に関わる

今後の二人のミッションは新機能の開発を軸に、電子マネー決済プラットフォームの利便性をさらに向上させることだ。Tは今後の取り組みを意欲的にとらえている。「お客さまが新サービスの開発を検討されているので、そのお手伝いをしたいと考えています。さらに現場に入って一年ほど経ち、システムの全体像が見えるようになってきました。いくつか問題点も見えてきたので改善、解決ができれば、お客さまも助かるし、サービスの利用者にも喜ばれるし、メインも『ありがとう』がいただけるウィンウィンの関係が築けるはずです」。電子マネー決済を導入する敷居を下げることで、日本におけるキャッシュレス化の裾野を拡大する。それが便利な世の中をつくり、多くの人びとに笑顔をもたらす。仕事の軸足が社会貢献につながっていることが、メンバーのモチベーションを高め、ミッションに輝きをもたらしているのだ。
現在の仕事について、Iはやりがいを感じ、誇りを持っているという。「人びとのためになる技術を習得し、便利な世の中をつくる仕事ですので、とても気に入っています。しばらくはここで勉強して、現場でのシステム開発を通していろいろな領域で世の中を便利にできればいいなと考えています」。一つひとつの経験を通してエンジニアとして成長することが、世の中を豊かに変えていく。これがメインの仕事に共通する「人びとを喜ばせる」ことである。
喜ばせるためには相手のことを「わかる」必要がある。これもメインが大切にしていることだ。チームリーダーであるTは、顧客やチームメンバーとのコミュニケーションこそが仕事においては重要だと断言する。「"伝える" と "伝わる" は違う。そこをいちばん意識しています。お客さまとの打ち合わせやメンバーに作業をお願いするとき、きちんと目的を伝え、それが伝わったか確認することで、相手との認識を合わせるようにしています」。相手と同じゴールのイメージが共有できれば、多少のプロセスが前後しても仕事はうまく進んでいく。結果、キャッシュレスマーケットの裾野を加速度的に拡大していくのだ。

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とある晴れた休日、都心の公園でフリーマーケットが開催されている。そこを訪れた外国からの観光客が「え、電子マネーで払えるの?」と目を丸くして驚いている。一年後、二年後だろうか。ともかく遠くない将来、そんな光景が間違いなく現実になるだろう。少なくともTとI、二人のエンジニアにはリアルなイメージとしてしっかり共有されているはずだ。